こんにちは!
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会の矢崎早人です!
(矢崎の詳細プロフィールはこちら!
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※このメールは上海から発信しております。
ここ最近は寒い日が続きましたが、お元気でお過ごしでしょうか?
先日、私は蘇州にある日系大手メーカーの工場を数社訪問する機会がありました。
共通して話していたのが、2014年の実績が悪かったので、コスト削減を進めなければならないという事でした。
中国の景気が停滞しているという話は、いろいろなところで耳にしていましたが、日系大手メーカーの担当者が明確に話すのを聞くと、いよいよ本格的にそうなってきたのかなと感じました。
ちなみに、2014年の実績が悪かった理由は、単純に中国の景気の影響だけでなく、東南アジアに生産を移管したものがあるとか、海外向けの輸出が不振だったなどの複合的な理由が絡んでいます。
さて、当研究会は、2009年ごろから本格的にトヨタ生産方式を活用した中国の生産、物流現場のカイゼンをお手伝いしてまいりました。
おかげさまで、中国においてどのように現場の問題や課題を解決し、中国人管理者を育成してくかのノウハウを蓄積することができました。
トヨタ生産方式って、実は低成長時代にも儲かる仕組みをどうすれば実現できるか?
という観点で開発されてきた方式なのです。
ご存知でしたか?
まさに、経済発展のスピードが鈍化していくこれからの中国にピッタリの生産方式なのではないかなと思います。
トヨタ生産方式とは、簡単に言えば「ムダ」を徹底的に排除してコストを削減しましょうという方式です。
そのため、原価計算に対しては人一倍着目します。
その一つの指標として「能率」というものがあります。
例えば、100個の製品を10人で生産している状況で、カイゼンを行って同じ10人で120個の製品を生産できるようになったとします。
これは、20%の生産性向上になります。
一方、こういうカイゼンもあります。
同じく100個の製品を10人で生産している状況で、カイゼンを行って同じ8人で100個の製品を生産できるようになったとします。
これも約20%の生産性向上になりますよね。
トヨタ生産方式は、前者を「みかけの能率「と言い、後者を「真の能率」と言って区別しています。
すべては「生産量=必要量」が大前提とされているため、能率が高くなったと言って売れてもいないのに120個生産すれば、それは在庫を増やすばかりになります。
これまでの中国では、必要量が増えるので生産量も増えるのが当たり前だったかもしれませんが、これからは必要量が変わらないか或いは減少する状況下で、どのように能率を上げていくかが重要になるのだと思います。
ところで中国では、出来高制を採用している製造現場を多くみかけます。
最近は、月給制(時間給)を採用していた日系企業から出来高制に変えたいという相談も寄せられるようになりました。
出来高制は日系の工場ではあまり馴染みがないかもしれませんが、非常に合理的な仕組みだと言えますね。
先ほどと同じ例で言えば、100個の製品を10人で生産していた現場で、景気の変動により80個だけ生産することになった場合、出来高制であれば10人の給料を80%にカットすればいいことになります。
出来高制ですから、作業者の給料で調整ができるわけです。
もちろん減産が続けば作業者が転職していくことは十分にあり得ます。
一方、月給制を採用している製造現場の場合は、80個だけ生産しても10人の給料を簡単に減らすことができません。
つまり一個あたりの生産原価は高くなってしまうのです。
もっと言えば、売上高が減る上にコストが高くなるという二重のマイナス要因が発生してしまいます。
さらに悩ましいのは、残業の問題です。
月給制の会社の現場では基本給だけでは給料が足りず、残業代を含めた総額での収入が前提となっていることが多いです。
そのため、作業している10人は100個生産するのに比べて明らかに仕事が減りますが、早く作業してしまうと残業がなくなってしまうため、それを覆い隠そうとする心理が働き、無駄な動きを増やしてしまう傾向があることです。
つまり、作業者が暇だとはっきり示してくれれば管理サイドもそれに気がつくのですが、無駄な動きをすることで暇であることが認識されにくくなるということです。
月給制を採用している製造現場がやらなければならないのは、80個生産するときは少なくとも8人で生産し、抜いた2人はほかの仕事をしたり、カイゼンを行うなどして更なる効率化を進めていくことです。
10人でやっていた作業を8人でやるには、各作業者が複数の工程や業務を行う必要があります。
つまり多能工化を推進しなければならないのです。
(多能工は中国語では、「多技能員工」や「多面手」などと言えば通じます。)
しかし、現実として、一般的な現場作業者は多能工化を受け入れるのが難しいように思います。
なぜかはわからないですが、自分の仕事を自分で特定し、それ以外はやりたくないと主張する人がとても多いですよね。
そのために生産量が80個、60個と減産になっても、同じ10人の作業者が必要だということになってしまうのです。
このまま月給制を採用し続けるか? もしくは出来高制に変更するか?
悩みどころですよね。。。
出来高制は合理的で良さそうに見えますが、一方で大きなデメリットもあります。
実は、当研究会もかつて出来高制導入を主張する社員側と、多能工化を進めたい経営側とで議論になったことがありました。
結果として多能工化を進めることになったのですが、その際に大変な苦労がありました。オフィスワークであっても多能工化は必要です。
スタッフが多能工化を受け入れるようになるには、会社理念の変更など会社の文化を変える必要があったのです。
もし、今の現場で多能工化が進められないなどのお悩みをお持ちでしたら、ぜひご連絡ください。当研究会のこれまでの経験やノウハウがお役に立てるかもしれません。
それではまた、皆さまのお役に立ちそうな情報があったら配信させていただきますね。
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会
矢崎早人
==== この定期カイゼン通信の目的 ========
この定期カイゼン通信は、生産現場、物流現場で孤軍奮闘されている方へ、また、日本で中国のオペレーションを管理している方へ少しでもお役に立てればと思い、発行させていただいております。我々は、生産現場、物流現場向けの業務
カイゼンのためのシステムを製造販売しておりますが、システム導入に限らず皆様のご苦労、問題を解決する事を第一の仕事としております。
コストカイゼンを含めた様々なカイゼン事例がたくさん蓄積されています。その事例を皆さんでシェアすることが、最短距離での解決方法ではないかと思い、ニュースレターを発行しています。お問合わせや、お聞きになりたいことがあ
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