おはようございます。
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店の鳥枝将光です。
(私のプロフィールは
こちら)
台風が多い時期となりましたね。
わたしも先日の華南出張中は台風が接近していたのでかなりヒヤヒヤしながら各地を回っておりました。
現場によっては安全のために夜勤を休みにしたりと大変だったようです。
また、新たな台風が近づいていますが物流も含めてあなたの現場は大丈夫でしょうか?
さて、今週の「Weekly 現場カイゼンブログ」をお届けいたします。
これは、「トヨタ 仕事の基本大全」という中経出版社が発行している本の中から、生産現場、物流の現場でお仕事されている方々にお役に立てる情報を、毎週1回当研究会の研究員から配信するものです。
「トヨタ 仕事の基本大全」という本の詳細はこちらです。
https://a.k3r.jp/a_sol/37137G4872B55
今週はCHAPTER_4 LECTURE56の"
問題を「感覚」でとらえない"です。
今回はとある実話をベースにある組織を潰してしまった2人の男のストーリーをお話します。
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11年前のある日。
季節は冬に差し掛かり始め、頬を吹き抜ける風に涼しさよりも寒さを感じるようになったころ、2人の男が失意とともに、とぼとぼと薄暗い道を歩いていました。
彼らが持っていた失意とは、自分自身への不甲斐なさや情けなさ、いろいろ対策を講じたにもかかわらず
結果に繋がらなかったことへの絶望感が織り交ざったような感情です。
「俺たちはがんばった。」
「やれることはやった、けどダメだっただけだ。」
「君は悪くないよ。」
2人とも、励まし合っているように見えますが、実際のところそうではありません。
ただただ、起こってしまった失敗に打ちのめされ、潰され、なにも話す話題がない自宅までの時間を2人無言で歩くことに耐えられず、言葉を掛け合っていただけです。
彼らに一体何があったのか?
彼らは組織運営に失敗し、一つの組織を潰してしまったのです。
その組織は設立されて6年ほどの若いとも古いとも言えないものでしたが、先輩たちから脈々と受け継がれ、続けられてきたものでした。
そんな組織が継続できるように2人でもっと楽しい、いつも人がワクワクする組織にしたいと考え、夜まで2人で会議をしたり、考えを巡らせていました。
しかし、彼らが直面した現実は以下のようなことでした。
・モチベーションの低い組織のスタッフ、イベントにも全然参加してくれない。
・次の企画会議を開催しても参加したのは3、4名。
しかも「誰もいないとかわいそうなので…」と同情的に参加してくれたのみ。
・いずれ運営が引き継がれることを伝えても、真面目な顔で「嫌です」と断る後輩。
・最終的に起こった後輩の謀反と独立。ほぼ類似の組織を自分たちで作ってしまう。
組織を運営していた2人からすれば、やっている努力は報われず、自分たちも何のために組織運営をしているのかすら見失っていました。
どうにか立て直そうとしても、活動への参加者は目に見えて減る一方。
先輩たちが異変に気づき、立て直しのためにかなり動いてくれましたが、既に組織はほぼ崩壊状態でどうにもならず、最終的には解散となりました。
真面目でやるべきことを自分で考え、実行していた2人でしたが結局のところ何が悪かったのでしょうか?
謀反を起こし、勝手に独立した後輩たち?
最近の若い世代との考え方の違い?
同期のサポート不足?
先輩たちが最悪の状態になるまで気づかなかったから?
一体全体、悪さの本質、「真因」なんだったのでしょうか?
若く、経験や知識の浅かった当時の彼らには結局のところわかりませんでした。
残ったものは
失意とむなしさ。
そして明日からこの事実を知っている人とどんな顔をして会えばいいのだろうか?
という恥ずかしさと不安でした。
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ちょっと話が長くなってしまいましたが、この話は事実です。
さらにお恥ずかしいことに、ここでの2人の男とは大学サークルの部長だったアベ君と副部長をしていた私です。
「なんだよ、"組織"って大学サークルかよ!」
「大袈裟だなぁ…」
なんて思われたかもしれません。
だがしかし、この出来事は私にとってかなりショッキングなことでした。
以降、私自身の頭には
「自分にはリーダーシップが無い」
「人の上に立てるような人間ではない」
と刷り込まれていたようです。
最近なぜか、過去のできごとをふと思い出す機会やフラッシュバックすることが多くあります。そんな中で下記の文章と出会いました。
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"記憶というものは、過去を正確に描写するようにはできていないということを認識してください。
人間の記憶は、そんなことのためにあるのではないのです。人間には、過去の記憶をさかのぼり、過去のいろいろな出来事が実はどのような意味があったのかを「再構築する」能力があるのです。"
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つまり、トラウマや失敗という過去もいつかは建設的なフィードバックとして自分で再構築できるということを伝えたいようです。
私が当時の自分を入れ替わることができたなら…
と考えてみると、かなりの数のカイゼン策が浮かびます。
戦術的なカイゼンもあれば組織運営のための戦略やあるべき姿の設定とマインドセットから新人獲得のマーティングなどなど。
その中で戦術と戦略の中間にあるような方法の一つとして問題を「感覚」でとらえない、ことがあります。
トヨタ 仕事の基本大全にはこのように書かれています。
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真因を探していくと、真因にたどり着いているのに「なぜ」を繰り返し、感覚的な要因を真因としてしまうケースがよくあります。
たとえば、「特定の作業員しか作業Aができない」問題があるとします。
①ほかの従業員は作業Aをしたことがない
↓なぜ
②誰でも作業Aができるようになっていない
↓なぜ
③作業Aをするための手順書がない
↓なぜ
④上長である課長は手順書がなくてもいいと思っている
↓なぜ
⑤部長が課長に一任している
↓なぜ
⑥部長の部運営の姿勢が悪い
ここでは最終的には「部長の部運営の姿勢に問題がある」ということになっていますが、この場合、対策として部長を交代するなどしないと問題が解決しないことになります。
結論を言えば、④から先は感覚的な要因になって拡散しています。
「課長は手順書がなくてもいいと思っている」は推測にすぎません。
「なぜ」は事実ベースでつながなければ、あらぬ方向に拡散していきます。
この例でいえば、真因は「③手順書がない」ことになります。
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当時、アベ君と私も組織の問題をなぜか?考えているうちに気づいたら後輩への愚痴になってしまい、それ以上話が進まなかったことを今でも覚えています。
しかし、本当の真因は先輩たちが自然と行っていた行動を私たちができていなかったことに一因があると感じています。
大学で会った時の自然な声かけ、食事しているところを見つけたら学年を問わず同席し自然な流れで次の企画リサーチをしていたり、そのままほぼ企画会議になっていたり。
などなど。
思い出すだけでも、先輩たちがやっていて、自分たちがやっていなかったことがたくさんでてきますし、その暗黙知に気づかず、引き継がれてもいなかったことがわかります。
これらの行動は「なぜ、組織運営がうまくいかないのか?」で今の私がなぜなぜをした上で対策を考えてみると浮かぶ小さなカイゼンのポイントにつながる行動です。
(もちろん当時の状況を考えるとこれ以外にもやることはいっぱい浮かびますが…)
今回は今までほとんど誰にも吐露したことのない過去の恥ずかしい失敗をベースに書いてみました。
ストーリー仕立てにしたので、長くなってしまいましたね。
自分の人生を振り返ってみると、まだまだ気づきはいっぱいあるものです。
あなたにはどんな失敗談がありますか?
そして、その失敗は今のあなたにどのような建設的フィードバックを与えてくれるでしょうか?
あなたの現場がもっと良くなることを応援しています。
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店
現場カイゼン診断士 鳥枝 将光
PS.
実は今回この話をしようと思ったのは、とある会社の総経理及びカイゼン塾に参加してくれた部下の方にこれから先カイゼンを進める上での悩みをヒアリングしていた時に優秀な部下に対して「私はあなたを昇進させたい!」と伝えた時に部下に断られてしまったという話を聞いたことから繋がり、書いてみました。
私自身、組織運営に失敗してしまったトラウマから条件反射的に上司からの昇進の打診を一度断ったことがあります。
そこで、ふと自分のトラウマを見つめ直した時に思い出した話だったのです。
PPS.
ニュースです!
人気のカイゼン塾ですが、今まで一人6日間1Setでの参加としていました。
しかし、
・新人監督者にまず基礎の部分だけ教えたい
・遠方からの参加なので6日間上海への移動時間や交通費が手痛い…
・部下を育てたいけども…6日間も抜けられるとちょっと困るな…
というような方のために2日間ごとにテーマ分けして分割参加できるようにしてみました。
(講義内容は同じです)
おかげさまで久しぶりにリピート参加される企業やこのコースとこのコースは新人組長が参加して、こっちのコースは部長級が参加します。
など、大反響です。
・社内の当たり前って他社でも当たり前なの??
・他社の管理監督者はどんなカイゼンをしているのか??
・社内活動がマンネリ化、他社はいったいどうしているのか??
など、
カイゼン塾ではあなたの部下に新たな気づきを与える仕掛けをたくさん用意してお待ちしております。
簡易的なものですが、分割参加が可能になったお知らせは下記にPDFをアップロードしておきました。
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==== この定期カイゼン通信の目的 ========
この定期カイゼン通信は、生産現場、物流現場で孤軍奮闘されている方へ、また、日本で中国のオペレーションを管理している方へ少しでもお役に立てればと思い、発行させていただいております。我々は、生産現場、物流現場向けの業務カイゼンのためのシステムを製造販売しておりますが、システム導入に限らず皆様のご苦労、問題を解決する事を第一の仕事としております。
コストカイゼンを含めた様々なカイゼン事例がたくさん蓄積されています。その事例を皆さんでシェアすることが、最短距離での解決方法ではないかと思い、ニュースレターを発行しています。お問合わせや、お聞きになりたいことがありましたら、このメールに直接返信して頂いて結構です。
当研究会では、しつこい売り込みは一切ないので、安心してお問い合わせ下さ
い。
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当研究会の仕事は、「現場で起こった問題をトヨタ生産方式(TPS)
やITを活用して解決し感謝される事」です。現場で困ったら、まずはご一報を!!
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