こんにちは!
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店の宇賀です。
https://a.k3r.jp/a_sol/37137B57881E28
コロナウイルスの中心地が
中国から世界各地に移り、封じ込め政策、外出禁止が
次々と出されておりますね。。
中国では高校、中学の再開日が決まるほど
回復を見せておりますが、
世界各地ではここからが感染拡大との戦いとなりそうです。
くれぐれもお体にはお気を付けください。
さて
今回のテーマは
問題解決のSTEP1
「問題の明確化」です!
(前回のNewsLetterではSTEP2の現状把握から書いてしまったので。。笑)
すごく簡単にまとめると
あるべき姿と現状のギャップ = 問題
をはっきりさせます。(その後STEP2で問題を分解していく)
しかし実は
問題をはっきりさせるだけではなく、
このステップは
何のために自分たちは問題解決をしたいのか?
カイゼン活動をなぜ始めるのか?
その先に目指すことは何か?
という大義、コンセプトを煮詰める部分であります。
問題解決のテクニックというよりは
活動全体の方向性・意味を考える部分です。
参考に問題解決の全8ステップを以下に記載します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
STEP 1 問題の明確化 ← 今回のテーマ
STEP 2 現状把握 (問題の層別)
STEP 3 目標の設定
STEP 4 要因解析(なぜなぜ分析)
STEP 5 対策立案
STEP 6 対策実施
STEP 7 効果の確認・評価
STEP 8 標準化
カイゼン活動を進めるときに、トヨタでは基本的にこのステップに沿って進めます。
(現場も技術者も事務員も)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
問題の明確化という名称なので
早速、問題解決に向けて動き出すように見えますが
1度立ち止まって、視点を高く上げて考えることから始まります。
(この重要性が今回のテーマです!)
大まかな流れでいうと
⓪ 企業を取り巻く環境(需要動向や競合他社や技術トレンド)
① 企業としての使命
② 工場の使命(工場という機能としての目的)
③ 自部署の使命(仕事の目的)
④ 自分(達)の使命(仕事の目的)
と高い視点から自分自身の視点に下げていき、
自分の使命を果たすために、このテーマに取り組むんだ!
と宣言します。
そしてその扱うテーマ(問題)について
あるべき姿と現状を
誰が、いつ、何を、どの程度、どうなっている状態の項目で比較し
ギャップ(差)を問題と定義するところまでです。
-----------------------------------------------------------
例) 製造ラインの不良率低減
あるべき姿 製造課が毎日、不良率0%で生産している。
現状 製造課が毎日、不良率20%で生産している。
ギャップ 不良率20%で生産している。
-----------------------------------------------------------
さて
会社の使命から考えるなんて
大きすぎて実感がわかないですよね。。
私も初めて取り組んだときは、恥ずかしながら社員であるにもかかわらずTOYOTAのHPで社長の言葉を探しました。笑
正直に言うと
問題解決やカイゼン活動を進めるために意味があるというより
報告のための飾りなんでしょ?と思っておりました。笑
確かに企業方針や工場方針、部の方針といったスローガンは
大きな意味で書かれており、意味の取り方も人によって変わります。
(ちなみに自分の時は、「もっといい車を作ろうよ」でした。)
一人で進める問題解決の場合、
企業方針、工場方針、部方針を集めてきて、丸写しし
それに合うように自分の使命を決め(現場の原価改善に貢献する為等)
このテーマに取り組む!とあまり考えずに宣言して、
問題解決を進めておりました。
しかし、
年次も上がり、
いざまとめ役として、数十名でのカイゼン活動を新たに企画し、
推進する立場になった時に、
このSTEP1をおろそかにしたツケが来ます。。
カイゼン活動を始めるにあたり
今回新しく取り組むテーマは
これだけ工数低減効果があります!
仕事も楽になります!
だからまず現状把握をこうしましょう!
こういう役割分担で進めましょう!
私としては、細かく丁寧にプランを作り
何をするのか、だれが何を、いつまでにするのかまで決めたので
計画通り動くだろうと甘く見てました。
しかし
全然動いてくれないのです。。
進捗通りにいかない。
動いてくれたとしても、とりあえず早く終わらせるために
こなしているのがわかるようなものばかり。。
なんで効果の見込みもあり
良いことしかないカイゼン活動なのに進まないのか?
とかなり悩み、メンバーにも相談しました。
そこで見えてきたことは
カイゼンそのものの内容や効果が
理解されてない訳ではなく
自分たちの組織は
カイゼンの先に何を目指しているのか?
ということが見えないということです。
→それで活動が後回しになっていた。
(なんで変えるの?今で十分だよと)
私は
数値目標などあるべき論を掲げて進めていましたが
メンバーにとっては、
この活動が自分から遠いもののように感じていたようです。
(傍観者のように感じてしまっている状態。)
私の失敗はSTEP1で
このカイゼンを進めることでこれだけの金額で
企業に貢献できるんだ!
ということだけメンバーに説明し、
すぐに問題解決への行動を始めようとしていたことです。
じゃあ自分たちの職場はどう変わり、どんな恩恵を受けるのか
ということまでは考えず、
ましてやメンバーとのコミュニケーションもしないまま
早急に活動を始めておりました。。
コミュニケーションを丁寧に行わず
飛ばしてしまったことにより
問題ははっきりしているが、
なんでこの活動を始めるの?
ということが
実際に進めるメンバーにとってぼんやりしたままでした。
しかし、
だからといって
一人一人と相談して
私たちは何を目指すのか考えるのは現実的ではありません。
実際は
各リーダーやこいつはならと思うキーマンを選び、
(製造課でいうと管理監督者のポジションの人たち)
STEP1の議論を通し
自分たちの使命やこうありたい姿を決めます。
取りまとめ役がある程度、STEP1のたたき台は持ってきますが、
あくまでも参加者の議論ベースで作ります。
自分はこの活動に参加している!
自分も考えたんだ!という実感を各リーダーに持ってもらわなければ
このステップに意味はありません。
それが固まった後初めて (必ず文字や図、グラフにして宣言する)
カイゼン活動のスタートです!
大きい組織になるほど
ビジョンや使命は遠い存在で、
実際に考えた人は熱を持っているのですが
階層を下って自分の元まで落ちてくる間に(社長→役員→部長→・・)
冷めた情報になってしまいます。
(もちろんさらに熱くして次に渡す人もいます。)
カイゼン活動をスタートするにあたり
自分たちは何を目指すのか?その先にどういう職場でありたいか?
を議論し、活動者間で共通の理解にしておくことは必須です。
そして
このカイゼン活動期間は
会議や報告会やワーキングがあるたびに何度もしつこく確認する。
自分たちはこれを目指しているんだよね?と。
カイゼン活動が進むと目の前のことで、いっぱいになってくるので
定期的に、視点を上げた話をする場が必要です。
新しいカイゼン活動の開始、
チームの発足、
また
メンバーは同じでも新たに力を入れて取り組む活動の場合
このSTEP1で
自分はこのカイゼン活動の先に
何を目指すのかは考えた!
すでにはっきりしている!
と思って活動する人が
どれだけいるかが
その後の活動や推進力に影響します。
決めたのちに
各リーダーは部下やメンバーたちと
コミュニケーションをとります。
(これだけを話す会議をしても良いくらい)
決定事項としてただ伝えるのではなく、どう思うか?
ほかにも目指す先はあると思うか?
という意見交換を行い、可能な限り取り入れるのがベストです。
(率直な意見は必ずだしてもらい巻き込む)
これで初めて
カイゼン活動、問題解決を
組織としてスタートする準備が整ったと言えるのだと
痛いほど思い知らされました。
(一人で進めていた時は気付かなかったですが。。)
抽象的な話になってしまいましたが
カイゼン活動や問題解決を新たに始めるというのは
上層部から見れば1つのプロジェクトですが
実務者からすると
現状の仕事から
プラスで実施する仕事です。
カイゼン後は楽になると言ったところで
現状の仕事量が増えるのは明らかなので、推進力は停滞します。
(カイゼン専任の人材を配置するのが肝ですが、
組織でのカイゼンを進める中では
どこかで必ず、現状の仕事量より増える人は生まれます。)
この場面で
各自が自発的に活動に取り組むか?建設的な意見を出すか?
もしくは
リソース不足を原因に停滞するか?
これを分けるのは
STEP1の段階で
どれだけ多くのメンバーが
目指すその先をはっきり理解しているか、(させているか)
そして
この活動は自分とつながっている取り組みなんだな。
と参加意識が生まれているかです。
(こいつはと思う部下には、構想段階で早めに入って議論しておく)
本日はSTEP1の問題の明確化にあたり
どうしてその問題に取り組むか?
その先に何を目指すの?
ということを組織で考えることの大切さ
また
カイゼン活動に取り組む管理者、リーダー、メンバー間の優先順位
見ている視点を合わせていく作業として
STEP1が必要ということを長々と話させて頂きました。
最後までお読みいただきありがとうございます!
PS
経営者や上層部の方々は普段から
会社にとってという高い視点をもって考えておりますが
現地管理職の方々がその視点で仕事をする機会は
かなり稀だと思います。
(本社や役員指示として落ちてきているものを使うことが多い)
なので、
せっかく新しいカイゼン活動を始めるときは
一度立ち止まって、方針やコンセプトを部下とじっくり
議論し考えさせてみてはどうでしょうか?
こういった時間は貴重ですし、
部下やメンバーの視点を
上げてあげるという教育的な観点、
そして
私も意見を聞いてもらえるんだと安心感を得ることで
自発的な動きが増える効果があるとのことです。
(Googleが取り入れて話題になった、心理的安全というやつです)
PPS
今週皆様に
弊社の新たな現場診断コンテンツをご紹介いたします!
皆様の現場カイゼンのお役に立てればと思いますので
ぜひ、お楽しみに!
また、
皆様の職場にてTPSの講義をさせていただく
出張カイゼン塾も行っておりますので
ぜひご覧ください。
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また、カイゼンが進まない、業務の効率が上がらないなど
困りごとございましたら
些細なことでも結構ですので
ご相談頂ければ幸甚です。
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店
現場カイゼンサポートチーム 宇賀 邦人
==== この定期カイゼン通信の目的 ========
この定期カイゼン通信は、生産現場、物流現場で孤軍奮闘されている方へ、また、日本で中国のオペレーションを管理している方へ少しでもお役に立てればと思い、発行させていただいております。我々は、生産現場、物流現場向けの業務カイゼンのためのシステムを製造販売しておりますが、システム導入に限らず皆様のご苦労、問題を解決する事を第一の仕事としております。
コストカイゼンを含めた様々なカイゼン事例がたくさん蓄積されています。その事例を皆さんでシェアすることが、最短距離での解決方法ではないかと思い、ニュースレターを発行しています。お問合わせや、お聞きになりたいことがありましたら、このメールに直接返信して頂いて結構です。
当研究会では、しつこい売り込みは一切ないので、安心してお問い合わせ下さ
い。
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当研究会の仕事は、「現場で起こった問題をトヨタ生産方式(TPS)
やITを活用して解決し感謝される事」です。現場で困ったら、まずはご一報を!!
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