こんにちは!
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店の宇賀です。
https://a.k3r.jp/a_sol/37137B68122E28
6月に入り、上海はどんどん蒸し暑くなってきましたが
おかげさまでたくさんの工場を訪問させてもらい
ありがとうございます!
工場好きな私にとっては
天気も気温も関係なく訪問させていただくのですが
生産現場で働かれる皆様にとっては
夏は危険な季節(熱中症、脱水症状等)でもあります。
くれぐれも気温の変化に対する体調管理にお気を付けください!
(トヨタでは毎年この時期になると塩分補給のため、
塩飴の大袋が配られてたことを思い出しました。笑)
今回のテーマは
PDCAサイクルとSDCAサイクル? です。
まずPDCAは
仕事・プロジェクトを効率的に進める手順であり
Plan(計画)
Do(実施)
Check(確認)
Act(処置)
という内容です。
多くの方がどこかでは耳にしたことがあり
仕事の基本として、有名なサイクルではないでしょうか?
そして
企業の運営もこのサイクルに沿って行われているので
意識せずとも自らの仕事にPDCAのサイクルが根付いている
という方がほとんどだと思います。
年度方針が決まり(Plan)
方針から自分の部署、チームがやることが決まり(Do)
それに対して中間点検や結果確認があり(Check)
確認結果に対して、対策や処置がなされる(Act)
というように。
そしてよりブレークダウンされた自分の仕事に落とし込んでも
このサイクルに沿って運用されています。
なので
日々仕事をしている方にとっては
意識せずとも、実施し続けており体に浸み込んでいる内容だと思います。
では、これに対して
SDCAとは何でしょうか?
それは
日常的に繰り返される業務を維持管理する活動です。
Standardize(標準化)
Do(実施)
Check(確認)
Act(処置)
というサイクルになっています。
日常繰り返される業務を徹底的な標準化を実施し
生産現場でも事務作業でも、
誰が、いつやっても、決まった時間で、同じ成果(製品)ができる
という標準を作り、(Standardize)
それに従って仕事をし(Do)
標準通り仕事をしているか確認することも
仕事となっており(Check)・・・前回話した管理者監督者の仕事
それを守れていなければ
どうして守れていないか、何がおかしかったのかに対し
処置、対策をする(Act)
という流れで進めます。
主にルーティン業務を円滑に回す仕組みとして導入されているのです。
このように見ていくと
PDCAは企業活動の流れとマッチしており、
自然と組織の各々に根付いていくサイクルですが
SDCAは企業活動のサイクルとは異なって
日常維持管理がメインであり、
企業活動のサイクルに合わせて放っておいても
根付くような仕組みではないのです。
(日常業務はSDCAで回すんだと宣言して初めて意識する)
大まかに言うと
PDCAは良い変化を生み出すサイクル、
SDCAは悪い変化をさせず維持するサイクルです。
企業は社会に対してよい変化を与え
価値を生み出すためにあるので、
今年はこういう変化をしていくんだ!!と
目標や方針を決め、運営していくので
PDCAがメインです。
しかし実際
企業活動の中身を紐解いていくと
膨大なルーティン作業、同じ作業の繰り返しで構成されています。
その作業の一つ一つが劣化しないように、
悪いものを流さないように、
誰がやっても同じ時間で
同じ品質のものができるように
徹底的にStandardizeすることが
リソースを無駄にせず、アウトプットにつなげるためには
必ず必要です。
そして
今までNewsLetterで書いてきた
徹底した見える化(目で見る管理)、
4Sや標準作業の話というのは
基準(Standard)を作ることを第1ステップとし
その基準から外れるも野に対してアクションを取っていく
というSDCAサイクルを回すためのものです。
SDCAサイクルは日常管理なので
カイゼンではないような感覚を持ちますが
それは半分あたりで、半分ハズレです。
なぜかというと
ほとんどの企業、生産現場というのは
Standardの作り込みができていないので
実際に文書、数値として作成していくと
今までこんなに無駄なことをしていたのかと見えてくることとなり
業務や作業の不要な部分の削除につながります。
今まで勘や経験で行っていた仕事が
プロセス、手順を明確に分解することによって
標準がない時よりも工数低減につながります。
ここがスタートラインであり
その標準に沿って仕事をしてみて
やりにくいところは変える。
標準が守れているかチェックしてみて
守れていなければ、必ず守れない理由というのが出てくるので
その標準を再度見直す。
トヨタではこのように日常維持管理が行われていきます。
そして
カイゼン活動はそれができたうえで
もっと良いものを、もっと安く、もっと早くというKPIを狙って
PDCAサイクルで実施していくのです。
① SDCA(基準を徹底し、日常維持管理による異常撲滅の仕組み)
② PDCA(目標に対してのカイゼン活動)
この2つを分けて考えることが大切なのと
あくまでも①が基本(前提)としてできていることで②の活動が
活動前との比較可能な状態になり
効果が出る活動ができると言えます。
トヨタがほかの企業と違うと思うのは
会社の方針や目標というものは毎年作成され更新されているのですが
(PDCAサイクルに沿った目標)
日々繰り返しの仕事、ルーティン業務、
個人が行う仕事に対しても
TPSの追求という明確な指針、目指す姿があるということです。
(SDCAサイクルの徹底)
TPSの考え方が従業員に浸透しているので
目標に対して取り組んで成果を出す!というよりは
毎日のルーティン業務に対して
その考え方に近づくように、
この取り組みはその考え方に反していないかということを
日々照らし合わせながら仕事をしているという感じです。
どの従業員も基本的にはSDCAが自分達の毎日の仕事です。
基準から乖離する異常があると、異常が起こる原因、異常が二度と
起こらないようにする対策をする。
これが基本の仕事。
そしてそれに加えて
カイゼン活動
(やりにくい作業、ここがもっと楽になればよいのに、もっと早くできないか?)
という問題意識に対して、PDCA型の問題解決に沿って進める。
なので、
日常管理で異常だらけだと、カイゼン活動に使える時間が無くなります。
それは自分の業務範囲のSDCAが徹底できてない証拠ともなります。
(Standardの作り込みができていない)
そして優先順位は
あくまで日常業務→カイゼン業務なのです。
ちょっとややこしいので
自分のとりくみ姿勢としては
標準が既に張り巡らされた職場なので
異常が発生しているか確認し
その異常に対して原因追及、対策を打つのが
日常維持管理。(SDCA)
異常がなく、一見スムーズに回っているように見えても
標準や今までのやり方をよりよいものにしていくのが
カイゼン活動(PDCA)
という様に分けています。
しかし
やはりその大前提は
標準(Standard)があることです。
さきほども書いたように、
まったく標準がない現場、業務は
これをしっかり作ることで、無駄が浮き彫りになる効果があります。
ルーティン作業なら
特にぼんやりとした手順でも、
取り組む順番はバラバラでも
人間は器用なので
普段やっている慣れのおかげで
大体同じ結果が出るように見えますが
標準を作るという
科学的態度、意識で自分の仕事を分解することによって
初めてムダに気付ける機会になります。
本日は
日々の仕事の大部分である
日常維持管理業務をSDCAサイクルで回すということは
PDCAサイクル(企業活動)と違い
放っておいても身に付き、意識できることではない
ということ。
だから従業員にこれが仕事なんだと意識させ
根付かせていくことが
大切だということを
長々と書かせていただきました。
その最初のステップが
目で見る管理のできる職場づくり(見える化)や
4Sの推進につながります。
PS
最近たくさんの工場に訪問させていただいておりますが
コロナの影響で、日本本社から、またお客様からの監査が
なくなってしまい、現場が緩みだしているという話をよく
聞きます。
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最後までお読みいただきありがとうございました!
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店
現場カイゼンサポートチーム 宇賀 邦人
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この定期カイゼン通信は、生産現場、物流現場で孤軍奮闘されている方へ、また、日本で中国のオペレーションを管理している方へ少しでもお役に立てればと思い、発行させていただいております。我々は、生産現場、物流現場向けの業務カイゼンのためのシステムを製造販売しておりますが、システム導入に限らず皆様のご苦労、問題を解決する事を第一の仕事としております。
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