おはようございます。
カイゼン研究会です。
海外駐在ニュースでは
ちょっと気になる中国・東南アジアの時事ニュースをお届けします。
(現地社員との話のネタに使っていただければ嬉しいです。)
2007年に
当時4歳の男の子が誘拐され
14年後の2021年に
その子供と犯人が見つかるという
当時大事件があったのですが
この事件で
誘拐罪で服役していた犯人が
2026年8月に釈放されましたことが
ニュースなりました。
14年間も行方不明で
家族は生活のすべてを捜索に費やし
2021年に、
DNA検査の結果
やっと子供が見つかったのですが
子供も
誘拐時の記憶がおぼろげで
14年間育ててもらった家族との別れに
大きなダメージを受ける
という
後味の悪い事件でした。
当時でも
大ニュースでしたが
今回は
そこまでの被害になっているのに
犯人が5年間の刑期で済んでいることに対して
批判が再燃しているというのが
ニュースになっています。
中国では
1980年代~2010年代にかけ
子供の誘拐は社会問題で
2021年に過去の事件を含め
大規模なDNA検査を行った際
約1万人以上もの
行方不明だった子供の
身元が明るみになる
という調査結果まで出ているため
問題の規模がうかがえます。
今回
その犯人の刑期が
5年だった背景には
誘拐された子供を引き取った家族と
犯人の金銭のやり取りが
証明できなかったこと原因です。
金銭目的の誘拐、人身売買だと
刑期は重く
死刑の可能性もあるほどですが
それが
証明できない場合の
誘拐罪では最高でも5年で
この差に
多くの国民が疑問を持ったため
議論となっていました。
こういった
法体系になっている裏側には
中国独特の文化があり
中国語で「送養」と言うのが
関係しています。
(他人に養子に出すという意味)
ここには
養子に出すというのと
それでお金を稼ぐというものは
線引きが難しいという問題があります。
日本でも
江戸時代などは
家族のための身売りや
丁稚奉公というものがありましたが
明治時代に明確に
人身売買禁止の法律ができました。
しかし、
その後も貧困を理由に
借金返済のための奉公や
公娼制度など
主に
子供の労働という面で
他人に売るということは
法律の禁止とは別に
ずっと残っていたのですが
1960年代の経済成長と共に
ほとんど姿を消しました。
それはやはり
多くの理由が
経済的な理由だったことがあります。
中国の
「送養」もそれと近いのですが
経済的な理由だけでなはないのが
日本と違うところです。
正式な送養は
法律でも認められている
用紙に引き取るという制度です。
日本でも同様の養子に出すという行為で
出す側、受ける側共に
政府の登録、手続きを通し行われます。
(1999年以降に法制化され、国によって管理されている送養です)
ここからがグレーなのですが
民間送養というのがあります。
正式な養子手続きを行っていない
子供のやり取りすべてを指します。
これは
1999年以前にも当てはまりますし
それ以降にもあります。
育てられないくらい貧困という
理由ももちろんありますが
跡継ぎとなる男子が欲しかったり
男子、女子への選好だったり
一人っ子政策時代の影響だったりで
正式ではなく
当事者間や
知人や仲介を介して
子供を受け渡ししたりすることです。
この人数は公表されてませんが
非常に多かったと思われるため
この扱いが
中国ではややこしくなります。
1999年以降は
基本的に違法ではないという判断です。
正式に法律ができるまでは
慣習的に続いていたことに加え
2000年代以降も
法律はできたものの
地域の
行政インフラが整っていなかったので
戸籍登録が正確にできていない
という原因で
正確に正式な養子かどうかを
識別できていなかった時期が長いのです。
また、
戸籍がないまま育つ
子供も当時かなりおり
その要因の一つとしては
一人っ子政策も関係しています。
自分の子供だけど
あえて登録しない、
時期をずらして登録するなど
自分の子供であっても
行政に戸籍登録しない
インセンティブがある家庭もあったので
通常の子供
送養の子供
に加え
戸籍の有り無し
また、
その正しさが
一括管理できていない状態が
かなり最近まで続いていたのです。
(農村の方では、身分証と実際の年齢が違う人などはざらにいる。)
なので
そのグレーな領域
管理が及ばない領域として
「送養」を利用した、
商売、子供の取引という
市場が80年代から拡大しました。
買い手は、
先ほど言ったように
送養の複雑さや管理の甘さがあるので
子供を買っても
その後、合法的に育てる道がかなり
あったことが背景なのです。
ピーク時は
1993~1994年あたりで
女性・子供の誘拐及び売買
取り締まり数だけで3万件以上あり
救出された人数は
約27500人
となっており
この規模の大きさを表している一方
調査後、
救出不要と判断した人数
約18000人
と
この問題の複雑さも示しています。
(人身売買なのかの判断がつかなかったり、
すでに家庭に溶け込んでしまっている。)
このように
中国では
以前からの積み重ねの
風習があり、
養子の法律も作ったが
管理が整っていない。
その長い期間にあった
民間送養はそもそも識別できないので
急に違法にはできない。
だけど
人身売買につながる犯罪は
減らさないといけない
そんな
状況のなかで
その子供の受け渡しに
必要以上にお金が発生していたら
人身売買と認定する。
(ある程度の養育費などは許容)
という区分けが作られていきます。
今回の事件は
誘拐をしているので
もちろん犯罪ですが
自分の親族夫婦に子供を渡している点
必要以上にお金をやりとした記録がない点
誘拐以外の部分は
民間送養に当てはまり
ここに違法性はなく
金銭のやり取りもないので
誘拐罪のみとなっています。
日本との面白い違いは
日本では
経済が豊かになっていくことで
人身売買に相当する事件が
減少していったのに対して
(供給側要因)
中国では
もちろん経済要因もありますが
需要要因(買い手側の変化)が大きいことが違いです。
戸籍登録や
出生証明
病院での出産記録などの
管理面が整っていったこと。
2015年までは売り手が罰を受ける法律ができた。
DNA鑑定の発展や
監視カメラ網の発達と共に
急激に減少していることです。
1990年代は
立案件数が1万件~6000件/年で推移し
2000年代前半も
7000件~5000件/年と
高止まりしていた一方
2010年からは
2500件/年前後
現在では
300件/年
まで下がっています。
これは立案件数なので
過去の案件も含みますが
警察の2021年の発表では
20人/年くらいの被害にまで減っているということです。
最近は報道が減りましたが
2000年代でも大ヒット映画のテーマになるほど
大きな社会問題で
90年代以降
中国で急速に定着した
子供の送り迎え文化にも
少なからず影響しているように思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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