おはようございます。
カイゼン研究会(a-Sol上海)です。
海外駐在ニュースでは
ちょっと気になる中国・東南アジアの時事ニュースをお届けします。
(現地社員との話のネタに使っていただければ嬉しいです。)
6月1日に
訪中しているブラジル外相と
中国商務部長の会談があり
内容は公開されていなかったのですが
後日、
大豆と牛肉の輸入についての内容だったと
明かしたことがニュースになっています。
なぜ、
この内容がニュースになるかというと
この数年、中国では牛肉の輸入に対して
かなりセンシティブだからです。
以前日本でTPPで関税が安くなると
国内農家に大きな影響がある。
保護しないといけない。
という議論がありましたが
それに似ている構造です。
もともとブラジルは
牛肉大国であり
中国における牛肉輸入国の内訳をみると
今では約50%になっています。
一方、
中国でも牛肉の消費が増えていく中で
中国国内の生産量を増やしてきた背景があります。
これ自体は悪いことではなく
2023年までは
伸びていく需要に対して、
牛肉が足りていなかったので
輸入増加+国内生産増加という方向で進めていました。
■牛肉輸入量
2014年 30万トン
↓
2023年 270万トン
■牛肉国内生産量
2014年 550万トン
↓
2023年 753万トン
しかし
2023年に突然、
牛肉の価格が大幅に下がります。
国内生産が当初計画の
680万トンを大幅に超え
供給過多になったこと
と
景気低迷による国内需要の減少が重なった。
それに加えて
牛乳の需要も落ちたことにより
酪農業でも
乳牛を減らし食用にするという流れが
同時に起こった年でした。
(より供給増)
2023年~2024年にかけて
12カ月連続で価格が落ち
前年同期比16%以上も下がる事態に陥りました。
牛一頭を売ると
1600元もの赤字が出るという危機的状態で
このまま行くと
今出荷しても赤字
価格見通しが悪いので
子牛を買う量も控える
子牛が売れないので
この産業で一番重要である
母牛も手元に残さず、売る。
そして、
まだ中国では
大規模化されていない
牛農家は資金的に体力がないため
市場から退出してしまう。
という悪循環が起こります。
牛肉は
供給までのリードタイムが長く
(2~3年で1頭につき1頭の子牛)
豚(約5カ月)や鶏(約6週間)とは違い
価格が変わったから
すぐ供給を調整するということが
できない産業でもあります。
そんな事態になったため
中国の牛農家、業界団体が政府に働きかけ
国内産業を守るために
海外からの輸入を調整する
セーフガード措置の検討が
2024年末に始まりました。
これは
牛肉輸出国からすると
中国の市場はかなり大きいため
トランプ政権のように急に関税措置などをする
というようなことをすると
大きな摩擦を生む問題に発展するため
延期を重ねながら
1年という長い時間
ブラジルやオーストラリア、アルゼンチンなどと
調整を行い
2026年1月1日より
セーフガード措置の実行に至った
という背景があります。
セーフガード措置は
各国ごとに一定の輸入枠を設定し
それを超える量からは関税が55%かかる
という内容でした。
外交関係と
国内産業保護の
バランスを取りながら
業界団体から注目されていた内容です。
しかし、
1月から
いざ施行してみると
5月時点でブラジルは
輸入枠の50%を
すでに超えてしまっているという
結果が出た中で
今回の会談があり
かなり注目度の高いニュースになっていました。
少し複雑なのは
ブラジルからは
大豆の輸入も行っているのですが
牛肉とは逆で
大豆の輸入は増やしたいという狙いもあります。
大豆輸入の大部分が
現在はアメリカからであり
安全保障上、それを分散させていきたい
その相手がブラジルであるというのが理由です。
なので
急に、牛肉に関税をかけて
軋轢を生むということはしたくないため
かなり丁寧に、この2つの輸入を調整している
という背景があります。
ちなみに
中国の食料自給率は
2000年くらいまでは
100%を超えていたのですが
現在は
約80%となっています。
穀物などの主食は90%以上なのですが
油糧種子がかなり低く
(大豆など)
60%以上を輸入で賄っている状態です。
肉類の消費量に関しては
中国では豚肉が圧倒的で
豚肉:約60%
鶏肉:約30%
牛肉:約10%
となっており
牛肉はまだまだ低いです。
一方、日本は鶏肉が人気です。
豚肉:約37%
鶏肉:約47%
牛肉:約16%
中国では
豚肉の生産は
すでに大規模化し
工業化が進み、価格が低いのですが
牛に関しては
消費が増えてきたのも
ここ20年ということもあり
まだまだ中小の農家が多く
海外産の輸入品に対抗できる
価格にはなりません。
これに関しては
日本も中国も同様の問題を抱えており
生産規模の問題が影響している
だけではなく
突き詰めると
家畜を育てるための飼料(大豆)が
ほとんど海外に依存していることが
問題になります。
中国でも
大豆の自給率を上げようとすると
主食の土地を奪い、自給率を下げることになるのです。
なので、
この100年間で徐々に肉食化が進み
国民の食事構成が変わっていく中で生まれた
飼料という部分は、海外で賄っており
大きく見ると
自給率としての優先順位は
落としているというのが
中国の今の立ち位置でもあります。
本日の海外駐在ニュースはここまでです。
ありがとうございました。
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