おはようございます。
カイゼン研究会(a-Sol上海)です。
海外駐在ニュースでは
ちょっと気になる中国・東南アジアの時事ニュースをお届けします。
(現地社員との話のネタに使っていただければ嬉しいです。)
中国の第2次産業(工業)における
収益率が下がり続けており
内巻(内部での競争)が激しいことが
原因だというのが話題になっています。
中国国内は
製造業を推進してきたこともあり
需要に対して、供給が過剰なことは
知られていましたが
工業分野の企業の収益率が
2021年の6.8%をピークに
2025年には5.3%まで下がり続けています。
特に、鉄鋼、自動車、太陽光発電などは
大きく収益率が下がっており
報道やニュースの分析では
内部での過当競争、値下げ競争のせいだ!
(中国語の流行語で内巻と呼ばれている)
となっているのですが
よく考えると
需要と供給で適正な価格が決まるので
値下げ競争は需要が供給を
下回っているだけのはずで、
正常なことのように見えます。
逆にここで競争を
起こさないようにすること、
例えば
カルテルを組んで値段を維持したり
独占や寡占状態になるということは
消費者にとって良くないという
共通理解があるため
独占禁止法などで制限されており
健全な市場経済のために必要になります。
なので
この過当競争を是正しよう!
というのは
普通に考えると
どこか違和感のあることなのですが
ここに
中国ならではの原因があります。
市場原理の考え方は
先ほどのように
需要と供給が適正価格を決める。
自由競争で適正価格を維持できない企業は
退出する(淘汰される)ことなのですが
中国では
競争は激しい(これは良いこと)のですが
企業が退出しない
という構造に陥ってしまっています。
なので
適正価格以上に値段を下げて、
収益が確保できなくても
生き残ってしまうため、
このように問題視されているようです。
なぜ退出しないかの原因は
かなりいろんな要素が
絡み合っているのですが
基本的には
政府補助や銀行からの資金流入があるので
企業は生き残ることができています。
このような措置をとっている
大きな原因は
地方政府のインセンティブ設計にあり
中国の地方政府(官僚)の評価は
自分の省のGDPが成果として
大きく重視されており
これがかなり影響していると思われます。
長期スパンで見ると
収益率の低い企業は
退出した方が、
市場の効率が上がり健全なのですが
地方政府と銀行は(政府の影響を大きく受ける)
破綻させた場合の損害や
不良債権化というような
目先の会計上に大きな影響が出るため
短期的目線で
延命を自然に選んでしまう
インセンティブが働いてしまっています。
(自分が担当の間は先延ばしにしよう、成績にも影響が出るから、、というような構造)
そして
実績としても
中国では企業が破綻した場合の
資産の回収率が他国と比較すると極端に低く
・中国 約37%
・アメリカ 約81%
・日本 約92%
・OECDの高所得国平均 70%
となっており
破産制度自体がまだ成熟しておらず
破産(退出)した場合、
債権者へのダメージが大きい。
それは裏返すと
債権者がリスクを精査せず
貸し付けていることでもあります。
20.24%https://kaizenlab-china.blog.jp/archives/11806468.html
(過去コラム銀行のリスク管理についての歴史)
30.18%https://kaizenlab-china.blog.jp/archives/10710378.html
(過去コラム中国の地方債務問題について)
企業の破産制度の見直し
2025年から始まっていますが
ここが企業の退出を制限しているという見方もあります。
そして
さらにもう一つ
この地方政府の問題で大きなものは
自分の省ベースで経済を見ているため
同じようなモノを作る企業が
各省にできてしまっていることです。
各省や地方銀行が
地元企業を優遇、保護し
EVや太陽光、鉄鋼メーカーなど
中国では各省に代表企業があるような
構造になってしまっています。
そのサプライヤーなども同様であり
競争のプレイヤーが
中国全体で見ると多すぎるし
違う省の企業が参入しようとしても
省政府は、地元企業へのみ補助を出したり
優遇したりするので
なかなか
健全に淘汰が起こりにくくなっています。
自分の省の損害を抑えるためと
他省との競争に勝つ(他省メーカーに淘汰されたくない)
というインセンティブが働いており
全体で見ると
経済的にはメリットのない選択を
取り続けています。
(短期の痛みを避けたり、失敗を表面化させないという、自分の評価へのメリットはある)
このように
1つの国の中で
複雑な市場として分割されてしまっている
という課題もあるのです。
どの省の企業にも平等な参入を促す
統一市場づくりなど
中央政府も制度作りに動いていますが
まだ具体的には進んでおらず
まずは
勝手な補助金によって
価格競争を促す政府や企業に対して
2026年3月からネガティブリストを作成し
政府によるテコ入れが始まっているという状況です。
本日の海外駐在ニュースはここまでです。
ありがとうございました。
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