こんにちは。
カイゼン研究会(a-Sol上海)です。
今日は
中国拠点で
コストを下げる工場管理
3つのポイントについてです。
以前に
工程改善と仕組み改善の違いの話をしましたが
1個当たりコストが
徐々に減っていくための取り組みは
「これをすれば達成!」というものではなく
日々起こっている「損失」を表面化させ
それを解決し続けるシステムを
工場に根付かさせることが
大きな目的になります。
ローカルの管理者にとって
自然とそれが仕事になっている状態を目指します。
もちろん
外注品の値下げ
売値の値上げなど
一気に収益に影響するものも
ありますが、
工場の生産性に関しては
人が変わっても
製品が変わっても
組織として徹底できる
「異常発見システム」
を中国拠点で作れるかどうかが
他社と比較した時の競争力になります。
そんな背景があるので
トヨタ自動車で行われている
異常管理をベンチマークし、
自社にも取り入れてみよう
というのがよくありますが、
中国工場での違いを考慮せず
そのまま強制しようとして
うまくいかなかった事例は多く存在ます。
代表的な事例で言うと
トヨタ自動車で使われている
「生産管理板」の仕組みを使おうというものです。
1時間に1回
管理者が対象ラインを確認し
数量と時間、基準CTとの比較をし
ある一定の誤差があれば
異常として記録し
その原因を探り、対策を打ちましょうというもの。
具体的には
CTが1分
1時間で60個生産しているのが正常
それを管理者が毎時間チェックし
60個できているかどうか?
できてないならなぜか?
造りすぎていてもなぜか?
ということを確認します。
次の日の朝会では
その管理板の記録をもとに
上司に報告し
「異常あり、なし」
「原因、対策状況」
原因追及や対策をするのに
他部署や前後工程の協力が必要なら
その報告を聞いた上司が動いて
必要な部署に協力を依頼する。
これを毎日
繰り返していくことになります。
1枚の表を現場に貼り
手書きで記録するのみの管理なので
簡単そうに見えるのですが
中国でやろうとすると
すぐに形骸化してしまいます。
作業者に
すべてやらせてしまうため
毎時間ごとに
同じ数量が記入されるだけ。
もしくは
大きなトラブルがあった時だけ
日報と合わせて、違う数量を記入などなど。
本来の目的である
時間と数量があっているか?
合っていなかったら
異常(コストを生んでいる原因)
として可視化させ
それを
チームで解決することを続ける
ということが根付きません。
そもそも
大きなトラブルは
管理板というツールを使わなくても
生産数が達成できないので
勝手に表面化します。
なので、結局
管理板への数字の記入という業務が
増えるだけで終わってしまう
というのがどの工場でもよくあります。
トヨタでこの管理が
うまくい続いている背景には
・生産性KPIによる時間の測定
・時間(工数)というものへの経営層の優先順位
・明確な責任分担(班長、組長、工長)
・管理層、事務員によるフォロー(彼らも毎日見る)
などが複合的に合わさって
毎日朝の必須業務となっています。
1個何秒でできるという
と言うところから逆算して
計画数と残業時間、人員数が決まっているので
異常があると
▼生産数が未達するか、
▼残業が伸びるか
▼在庫が減るか
のどれかで対応することになります。
なので普通の工場より
いろんな数値から異常が見えるようになっていることも
やらなかったときに
必ず誰かは気づくという環境になっています。
それに比べて
中国の生産拠点では
数量は明確に決まっていても
時間が曖昧になっていることが多く、
管理者が作業に入ったり、
他ラインから人を借りてきて、
生産スピードを途中で上げたり、
そもそも、
もともと残業時間が
生産数をクリアできる以上に
長く設定されていたりするので
トラブルがあっても余裕で作り切れたりします。
トヨタの管理に
話を戻すと
生産性管理がされている工場では
同じ数を作るのに
計画より時間を使ってしまうと
生産性が悪化します。
100個を100分で作る計画が
110分かかると生産性が下がり
その結果、評価も下がります。
なので
現場管理者でなくとも
事務員でも異常があったと分かります。
(生産性と在庫数と停止時間、残業時間を毎日確認します。)
だから隠せないのです。
そして現場の役割分担も明確で
ライン作業者
ライン運営者(カイゼンの実働)
班長(対象工程の管理及びカイゼン実務)
組長(対象工程の管理)
工長(各工程(ショップ)の管理)
課長(部門間の管理)
という明確な責任分担があるため
生産管理板の異常発見から
原因が解決できないまま
うやむやになるということのない
報告・管理体制が作られています。
加えて、間接部門、事務所からも
ガラス張りの状態で可視化されているので
隠そうとしても、どこかの数字で
残業や在庫、出来高で不整合がおきます。
逆に言うと
出来高、時間、在庫、生産性という
異常発見の網がない場合
そのまま、
生産管理板だけを現場に任せても、
異常は隠せてしまうのです。
まじめに記録して、
異常を見つけても
自分の仕事が増えるだけとなり
「1日で見ると計画数は達成してるから問題ないよね」
と、
記録する作業者も
それをチェックする管理者も
目をつぶり、形骸化していくのです。
では、
どうやって異常管理を根付かせるかというと
3つポイントがあります。
1つ目は
範囲を絞ること。
いきなり、全ラインで始めずに
特定のライン、特定の製品、特定の設備
だけで始めることです。
その品番のCTと計画数を見て
何時に始まり、何時に終われば計画通りか?
まずはそれだけを準備します。
2つ目は
チェック機能を分離すること。
現場だけに任せず、中立な生産管理や技術員、事務員を使って
チェックと原因追及をさせていきます。
中国の現場は人間関係を重視した
オペレーションであることが多く、
データでチェックして悪いところを
見つけるというのは嫌がるので、
なるべく機械的に
そういうことを進めることが得意な事務員の方が
不整合のチェックには向いているというのがあります。
3つ目は
生産データの記録を人に頼らないこと。
生産管理板は
現場が記入するのが通常ですが
なるべくそれを避けた方が良いです。
ほとんどの設備やラインには
カウンター機能があったり
検査装置がついていたりするので
そこのデータを見ることで
標準のCT通りかそうでないかという、
1個当たりの時間が記録されています。
日本では
生産管理板で管理者が
1時間単位で正常か異常かを判断しますが
正確に書かないと
不整合が起きてすぐばれる
ということで成り立っています。
中国では先ほど例にも挙げたように
なかなか正確に記録されていないことが多いので、
自動的に記録されているデータを見ることをお勧めします。
この3つに気を付けて
記録されたデータに対して
現場ではない人に
計画通りかをチェックしてもらいます。
余りにも細かく見ると
異常だらけになってしまうので
まずは
10分、15分以上誤差がある場合のみ
原因を現場と調査し、問題のみを記録する
という方法で構いません。
日本と違い
その場で原因を追究し、対策まで打つ
ということは、
基本的に
リソースと能力の問題でうまくいきません。
まずはどれくらい
どんな原因で停止(問題)が起こったのかを
1週間ほど記録することから始め
1度関係者で集まりその内容の確認と
優先順位決め、仕事として割り振っていく
ということをしていきます。
それを週に1回続けていき
・現場だけで何とかなる問題
・他部署を含めて解決しないといけない問題
・投資が必要な問題
などに分類して
具体的な取り組みを進めます。
まず小さな範囲でこの管理を進め
成功体験が3つほどできたら
次の対象に広げていくという順序で進めていきます。
1度始めると
最初は問題だらけで
何から取り組めばよいか、、となりますが
現場側も、
出来高でなく停止時間が
経営層に重要視されているという事実に気づき、
部下への指示も変わってきます。
会社として時間を重要視しているということが
生産管理板を通して徹底されることになっていくのです。
今回は、
トヨタでも使われている生産管理板による
「異常発見」システムを
どう浸透させていくかについて書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
P.S
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