おはようございます。
カイゼン研究会(a-Sol上海) です。
中国工場を管理していると、よく出てくるテーマの一つが「原価」です。
売上や利益の話は経営層が見ているもの、と思われがちですが、工場にも工場なりの利益責任があります。
それは、簡単に言えば、
1台あたりの原価を下げること
です。
今回は、
中国駐在の方からも要望が多かった
「利益と工場原価の分類」について、
トヨタ自動車の考え方も参考にしながら、できるだけ分かりやすく整理していきます。
会社によって原価の分類や責任範囲は異なりますが、自社の中国拠点ではどうなっているのかを確認するきっかけになると思います。
工場における利益を考えるとき、まず大切なのは「誰が、どの利益に責任を持つのか」という視点です。
営業部門であれば、売上や販売価格、受注量が大きなテーマになります。
一方で、製造部門や工場側が直接コントロールしやすいのは、売上よりも原価です。
つまり工場では、
同じ製品を、より少ない人・時間・材料・エネルギーで作ること
が利益を生み出す活動になります。
このとき重要になるのが、原単位という考え方です。
原単位とは、製品1台あたりにかかった金額や時間のことです。
例えば、
といった形で見ます。
なぜ原単位で見るのかというと、生産台数が増えたり減ったりしても、改善努力が見えやすくなるからです。
単純な総額だけを見ると、生産量が増えれば費用も増えます。
逆に生産量が減れば、費用も減ったように見えます。
しかし、それでは本当に改善できたのかが分かりません。
だから工場では、
1台あたりでどれだけ原価を下げられたか
を見ることが重要になります。
原単位が下がるということは、1台あたりの利益が増えるということです。
しかも、一度改善できれば、その後は生産するたびに効果が出続けます。
その意味では、原単位改善は「利益を生み続ける資産」のようなものだと言えます。
工場全体の費用は、会社によって分類方法が異なりますが、大きく見ると次の5つに分けられます。
それぞれ、どの部門が責任を持つのか、どのように改善するのかを見ていきます。
労務費は、工場で働く人にかかる費用です。
ただし、労務費といっても一つではありません。大きく分けると、次のような種類があります。
この中で、製造部門が特に管理しやすいのは、直接作業者の労務費です。
直接作業者の労務費は、基本的には次のように考えられます。
人員 × 作業時間 × 賃率
この結果として、製品1台あたりの人件費が出てきます。
ここで重要になるのが、能率管理です。
同じ人数でより多く作る。
同じ生産量をより少ない時間で作る。
ムダな待ち時間や手直しを減らす。
こうした活動によって、1台あたりの労務費を下げていきます。
製造部門にとって、労務費の原単位改善は、もっとも基本的な生産性改善の一つです。
2. 稼働費:工場を動かすためにかかる費用
稼働費とは、工場を日々動かすために必要な費用です。
この中には、かなり細かい項目が含まれます。
代表的なものは、
です。
補助材料費とは、製造で使うさまざまな消耗品にかかる費用です。
例えば、
などです。
一つひとつの金額は小さく見えるかもしれません。
しかし、毎日大量に使うものなので、工場全体では大きな金額になります。
そのため、補助材料費も「1台あたりどれくらい使ったか」を見える化し、原単位改善の対象にします。
消耗工具費は、刃具や治具などにかかる費用です。
例えば、加工工程で使う刃具は、寿命が短ければ交換頻度が増えます。
交換頻度が増えれば、工具費が増えるだけでなく、交換作業や停止時間も増えます。
そのため、
といった活動が重要になります。
これは製造部門だけでは完結しません。
技術部門、設備保全部門、生産技術部門もこの数字に責任を持ちながら、年間目標として改善を進めることが多い項目です。
エネルギー費も、工場原価の重要な項目です。
代表的なものは、
などです。
特に中国工場では、電力使用量やエネルギー効率の管理は今後ますます重要になります。
設備の待機電力、エア漏れ、不要な照明、空調管理、ピーク電力など、現場で改善できる余地は多くあります。
エネルギー費も、単純な総額ではなく、1台あたりでどれだけ使ったかを見ることで、改善効果が分かりやすくなります。
固定費には、減価償却費などが含まれます。
設備を導入すれば、その設備に対する減価償却費が発生します。
ただし、固定費は製造部門の日々の努力だけで大きく変えられるものではありません。
もちろん、設備稼働率を上げることで1台あたりの固定費を下げることはできます。
しかし、
設備投資そのものの判断は、経営や生産技術、事業計画と関係します。
そのため、製造部門の原単位改善対象としては、労務費や稼働費ほど直接的ではありません。
補助部門費とは、製造を支える間接部門にかかる費用です。
例えば、
などの人員費用です。
これも工場全体の原価には当然含まれます。
ただし、製造部門が直接改善対象として管理する費用とは分けて考えることが多いです。
補助部門費を下げるには、間接業務の効率化、システム化、組織設計、業務分担の見直しなどが必要になります。
5. 素材費:材料ロスを減らす改善
素材費とは、製品そのものに使われる材料の費用です。
例えば、自動車部品であれば、
などが該当します。
素材費の改善では、次のような活動が行われます。
素材費は金額が大きいため、改善できたときの効果も大きくなります。
ただし、素材費の改善は製造部門だけでは難しいことが多いです。
なぜなら、材料の使い方は、製品設計、工程設計、設備仕様、加工条件にも関係するからです。
そのため、
素材費の原単位改善では、製造部門だけでなく、技術部門、生産技術部門、設計部門が一緒に取り組む必要があります。
カイゼンとは、原価を下げる役割分担を明確にすること
工場で行われるカイゼン活動は、単に現場をきれいにする活動ではありません。
本質的には、
労務費、稼働費、素材費などの原価を下げ、1台あたりの利益を増やす活動
です。
特に、工具費や素材費のように設備や技術が関わる原価は、製造部門だけでは改善できません。
製造部門、技術部門、生産技術部門、設計部門が、それぞれの責任範囲を持ちながら、1台あたりの原価を下げていく必要があります。
ここで大切なのは、誰がどの原価に責任を持っているかを明確にすることです。
責任範囲が曖昧だと、改善活動も曖昧になります。
逆に、原価項目ごとに担当部門と目標が明確になっていれば、改善は進めやすくなります。
中国拠点で原価改善を進める場合、まず確認したいのは次の点です。
会社によって、原価の分類方法や責任範囲は大きく違います。
そのため、まずは自社の中国拠点で、
誰が、どの原価を、どの数字で見ているのか
を確認してみることが大切です。
毎年どの費用が増えているのか。
どの原単位が改善しているのか。
どの項目が誰の責任になっているのか。
そこを見るだけでも、中国拠点ならではの課題や改善余地が見えてくるはずです。
工場の利益改善を考えるとき、重要なのは総額ではなく原単位です。
生産量が変わっても、1台あたりの原価を見れば、現場の改善努力が分かりやすくなります。
工場原価は大きく分けると、
に整理できます。
この中でも、製造部門が特に関わるのは、労務費、稼働費、素材費です。
そして、原単位改善によって1台あたりの原価が下がれば、その後は生産するたびに利益が増えていきます。
カイゼン活動とは、現場の小さな工夫を通じて、工場の利益構造を変えていく活動です。
中国工場でも、まずは自社の原価分類と部門別の責任範囲を確認してみると、次に取り組むべき改善テーマが見えてくるかもしれません。
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