こんにちは。
カイゼン研究会 宇賀です。
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https://note.com/like_fish4618
最近、
NHKスペシャルで
中国人トラックドライバーの
ドキュメンタリーを見ました。
トラックドライバーの張さんを密着取材し、
中国の過酷な運送業の様子や
不運から借金を背負わされてしまう
張さんの人生なども絡めながら
長距離トラックドライバーの仕事を
生々しく撮影する人気シリーズです。
前回はたしか、
ラオスから中国までの輸送で
バナナを運ぶという仕事の様子でしたが
今回は
今まで個人事業者だった張さんでしたが
中国における不景気で
今までのように稼げなくり
自分のトラックを
差し押さえれてしまうところから始まります。
そこで
今急速に成長している
ロシアー中国間の運送を専門とする
会社に所属し
紛争中であり危険は多いが
ドライバーにとっては稼ぎが良い
ロシア向けの輸送をする決断をします。
青島から出発しモスクワまで
約1万キロを10日間で陸路を輸送する
という仕事で、
仕事にありつけた
会社の最新式のトラックを運転できる
これで2万元稼げる
というので
最初は張さんも明るいのですが
いざ始まるともうトラブルの連続です。
ロシアの税関で足止めを食らったり
上司のドライバーと大喧嘩して
トラックを下ろされたり
紛争の影響で、
インターネットが遮断され
途中で道が分からなくなったり
ロシア人に
SIMカードを買うのを拒否されたり
正規のガソリンスタンドは高いので
闇のガソリン業者を探したり
やっと走り出せたと思ったら
ロシアの警察官に難癖をつけられ
賄賂を要求されたり
モスクワに着くまでに
数えきれない困難があり
トラック運転手の目線で
この仕事がどれだけ大変なのかを
嫌と言うほど思い知らされます。
最終的に
10日間では間に合わず
15日くらいかかってしまいます。
・張さんと家族との絆
・ロシアでビジネスチャンスをつかもうとする
運送会社の社長
・トラック運転手の過酷さ
などなど
番組の中では
様々なテーマを含んでいて
とても見ごたえのある
シリーズなのですが
これを見ていると
「客観性」や「データの限界」について
考えさせられます。
特に
このドキュメンタリーで
描かれているテーマからは離れるのですが
勝手に想像すると
この仕事の後
こんなに
困難だらけであったはずの出来事が
・10日間のはずが15日間かかった
・コストはいくらだった
・担当運転手は張さん
という客観的なデータとして
会社に残ります。
データを見た管理者は
担当のリーダーに
なぜ5日間も多いんだ?
通常より5日分燃料代も高くなっているぞ
と問い詰め
リーダーは
運転手の仕事が良くなかった
ということを原因とし
今後は目標未達の場合
運転手教育の追加
増加コストは運転手への罰金を課す。
というような
対策を取ったりするでしょう。
(中国企業ではこのような教育や罰金を課すことが多い)
もちろん
すべての仕事を
このドキュメンタリーのように
密着して主観的に見ることはできないので
この客観性、
データというので
まずは判断することが必要なのですが
じゃあ今後どうしようか?
と考える材料としては
かなり不足しているなと
この番組を見ていると考えさせられます。
もし、
この会社のリーダーや管理者が
このドキュメンタリーを見ていれば
(ドライバー主観で考えていれば)
自分の予想とは
まったく違う面白い原因が見つかり、
本当の意味での対策が取れるように感じます。
普段
データ収集が大事
事実が大事とよく言っているので
矛盾しているような意見なのですが
データや客観的な可視化だけでは
このドライバーの仕事のように
本当の原因や
面白い部分に辿り着けないな
とつくづく思います。
例えるなら
この密着取材や
聞き込み調査や動機や感情
という探偵のような調査が
価値を生むような気がします。
組織で例えるなら
経営者はデータ
管理者はそれに基づいて
部下の主観調査
(まさにこのドキュメンタリーのような追いかけ)
その結果
不満や問題が起こっている原因を
見つけるという構造が理想的ですが
データ重視だとここが抜け落ちてしまいます。
少し話はそれますが
昔、批評家の小林秀雄が
「歴史」の意味が変わってしまった
と嘆いているエッセイがありました。
本来は
その歴史上の人物や出来事
その当時の人の主観を追いかけることが
面白い部分で、
自分の行動に影響を与えたり
その人から学ぶことに価値があったのに
今の「歴史」は
客観的で万人が同意できる
事実ばかりになって、
主観(人間味)がなくなり
学生が面白いと思うことはなくなった。
万人が同意できる
客観的な部分ばかりになると
その人物の生まれた年代、
亡くなった年代
何か事件が発生した年代
そんなものの暗記ばかりになって
それはつまらなくなるだろう。
このような趣旨で
現代の客観性偏重が
「歴史」を学ぶことの意味を潰してしまう。
そんなことを
嘆いていたのを思い出します。
たしかに
これにも似ていて
その主観性や
数々のエピソードをそぎ落とし
事実だと保証されている
客観的な部分だけで判断してしまうと
自分にとっても
組織にとっても
価値ある部分を見逃してしまい
面白いアイデアや対策につながりにくい。
そして
この運送会社の管理者のように
(私の想像ですが笑)
データだけを見て
なにか、わかった気になってしまうことは
自然に陥ることなので
このNHKスペシャルを見たおかげで
それに気づくことができ、
今後の戒めとなりました。
張さんありがとうございます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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