おはようございます。
カイゼン研究会 宇賀です。
今月に中国で上映された
「三国~洛陽の戦い」という
三国志を描いた
アニメーション映画を見てきました。
三国志というと
学生の時に
吉川英治の小説や
図書館にあった
横山光輝のマンガ三国志を
読んだことがあるくらいなのですが
その影響もあってか
中国と言えば
三国志だというイメージを持っていました。
実際
こちらに来てからも
三国志が好きな方や
ものすごく詳しい方と出会うことも多く
「ゆかりの地を巡る旅行をしてきましたよ!」
というのもよく聞きます。
ですが
最近、
中国駐在に
来られた若い方々と話すと
中国と言えば
「キングダムですよね!」
と
秦の始皇帝が
中国を統一するまでを
描いている漫画のファンも多く
世代によって
グラデーションがあることに驚きます。
前までなら
中国で、
日本人からすると
わかりにくい地名や
有名でない場所を
会話で伝える時に
補足として
三国志で言ったら
この国があったとこですよ。
この戦いがあったとこですよ。
と言えば
あーそこなんですね!
と伝わりやすくなることが
多かったのですが
世代によっては
まったく伝わらなくなりました。笑
逆に
キングダムの舞台である
春秋戦国時代の国名で
補足できれば
良いのかもしれないですが
国が多すぎて
自分もよくわからないという
ジレンマがあります。笑
そんな
キングダム世代の方のために
前置きをすると
長い春秋戦国時代があり
秦の始皇帝による中華統一があり
統一して15年くらいで崩壊し
また統一への戦いの時代
作品で言うと「項羽と劉邦」がその戦いです。
その後
劉邦が中華統一し
有名な「漢」の時代になります。
その漢朝の末期、
崩壊しそうなところから
また中華統一を
めぐって争いが始まる
ここでやっと
三国志の時代になります。
長くなりすみません。
映画の話に戻すと
アニメーション映画だったので
勝手なイメージで
子供も楽しめる
張飛や関羽のアクションを
見れるんだな。
と思っていた
予想を大きく裏切られ
曹操を主人公として
小説や漫画を読んだくらいでは
全然追いつけないくらい
歴史を詳細に
たどっていくような映画でした。
日本でよくある
劉備、関羽、張飛といった
蜀のチームはまったく描かれず
本当に史実通りに
漢朝の腐敗、
宦官に権力を握られている様子、
当時まだまだ下っ端だった曹操が
その謀略だらけの朝廷の中で
働く様子がメインであり
2時間をかけて
董卓が朝廷を牛耳り始めるくらいで
終わります。笑
諸葛孔明はもちろんのこと
赤壁の戦いなどもなく
漢の朝廷内の
権力争いや混乱を描くという
日本で描かれる三国志に
慣れた人から見ると
かなり
ストイックな内容です。
映像はアニメーションなのですが
内容はまったく
子供向けじゃないです。笑
たしかに
漢朝の崩壊がきっかけで
三国時代が始まるので
崩壊に至る様子や
その宦官による腐敗を
詳細に描かないといけないし
史実的に
本当の時代背景がぼやけてしまう
というのはわかります。
しかし
英雄の群像劇として
桃園の誓いから始まる
三国志しか
読み慣れていない私にとっては
かなり新鮮で
まだ漢朝に
曹操が仕えている、
吉川英治の小説でいうと
10巻中1巻の終わりくらいまでで
一本の映画とするか!と、
やはり
本場では
大事にしているポイントが違うなと
思わされました。
(映画は三部作の予定です。)
三国志という物語の
切り取り方の違いに
驚いてばかりいましたが
映画を見ていると
今回ある意味主役だった
宦官という存在に引っかかってきます。
中国史の中で
唐の時代、明の時代など
その後何度も
宦官による腐敗が問題として
出てきます。
なんで
問題が起こるのに
ずっとこの制度を続けているんだろう?
そもそも
皇帝の妃のために働き
男子禁制の後宮での業務になるから
去勢した男性が宦官になる。
くらいじゃないの?
なんでそんな権力を持つのか?
と思ってしまいます。
しかし
宦官の仕事を調べてみると
後宮の妃だけでなく
皇帝、妃を含めた生活のすべて
幼少期からお世話をしていたり
官僚や宰相と皇帝の
業務の伝言役までしていることが分かります。
王朝の宮廷は
外朝と内廷に分かれており
外朝は
官僚や宰相、行政を行う人たちで
政治の頭脳や実行をする
エリートや貴族たちが仕事をする
公共の場所です。
それに対して
内廷は皇帝や
妃たちのいる後宮を含めた
私的な生活としての場所になり
そこに入ることができるのが
宦官だけだったそうです。
北京の故宮をイメージすると
南側は外朝で
北側は内廷と分かれており
内廷へは
許可や取次がないと
宰相や大臣でも入ることができません。
これを知ると
問題は起こるけども、
やっぱりこの制度を続けてしまった
というのも
納得できる気がします。
官僚や宰相たちが
皇帝に提案や助言をし
皇帝が決定を下す
という単純な流れなら良いですが
科挙のエリートや
地方の名門や豪族が集まる
権力集団としての官僚や宰相は大臣たち。
妃側の親族がこういった高官の椅子を
すべて握ってしまう
ということも
よく起こります。
そんなパワーバランスによって
皇帝に耳の痛いことを言って
反対することもあるでしょうし
実務により詳しい官僚集団
に命令をしても
学者肌の法家や需家の官僚に
「法ではこうなっています。」
「儀礼として正しくないです。」
と言って
大義のない命令では
動いてくれないというのは
かなり想像できます。
軍事や高官が
すべて官僚やその時の大臣の
仲間で占められていたら
そもそも
皇帝は言われるがままに
許可を出す。
不満や反対の態度を見せると
暗殺されて、
言うことを聞きやすい
別の皇帝(兄弟・親戚)
をたてる
ということは
実際起こっていました。
(毒殺されたり)
そんな状況で
日々、
生活の面倒を見てくれている
宦官たちは
派閥やその時のパワーバランスを
重視する官僚や大臣とは違って
皇帝のためだけに働いています。
むしろ、皇帝に嫌われると
職を失います。
すべてを肯定してくれる存在であり
神経をすり減らす
外朝とのやり取りとは無関係で
唯一
腹を割って
なんでも言える
信用できる存在になっていく
というのは自然な流れな気がします。
三国志で描かれる
漢朝末期も
妃の親族たちが
権力を握っている。
不満がばれると殺されるかもしれない。
大臣に相談しようにも
密告されるリスクも高い。
そんな中で
絶対に私のために働いてくれる
宦官と協力し
当時の権力者である大臣を
引きずり下ろす
というところから始まります。
皇帝目線だと
これで正常に戻ったとなりますが
その後、
皇帝の信頼を得た
宦官の勢力は増え
次は、
官僚たちにとって
皇帝への進言ができない
宦官が伝言の内容を変える
宦官が皇帝に耳打ちする
宦官の判断で、
官僚や大臣を取り次いでもくれない。
皇帝は
内延に閉じこもり
宦官にすべて任す。
というのが腐敗につながっていきます。
後半の
側近による情報という権力の独占は
レーニンとスターリンの話にも
似ているような気がしますが
宦官の仕組みは
情報を独占したより先に
どうやって信用を得たか?
絶対に裏切らない存在というのが
重要なポイントに見えます。
(もちろん、皇帝を裏切った宦官もいます。)
こう考えてくると
宦官という制度が
悪いというよりは
人間の権力争いや
感情的な部分が残る限り
組織として同じような問題が
出てきてしまうのも頷けます。
本来、
組織制度としてあるはずの
トップからの伝達や実施のルートが
誰かのせいで麻痺してくる。
トップは
それを迂回するために
新たな部門が力を持つ。裏口を作る。
(この場合が宦官)
新たな部門は
もともとの制度にないので
コントロールできるものがいなくなり
腐敗していく。
それに
本当に我慢ならなくなった時に
制度ではなく、
力や軍事を背景に
権力を取る。(戦争や革命)
制度の良し悪しは関係なく
大きな組織では
そんな流れが
繰り返されるのかな
と考えると
日本の歴史にも
似たようなことがあったんじゃないかと
連想してしまします。
宦官とは全然違いますが
平安時代の日本でも
急に「上皇」による
院政というのがすごく出てきます。
学校で習っていた当時は
何の疑問もなく受け入れていましたが
もしかすると
中国の皇帝と同じで
当時の天皇も
摂政や関白のせいで
動きが取れなかったり
藤原氏の親戚に重要なポストを
すべて握られていたりして
似たような心情だったのかもしれません。
そこで
宦官の非正規ルートを
作ったのと同じように
皇帝もすぐ退位して
上皇になり
摂政・関白に縛られない
上皇が直接動かせる組織を作って
政治を動かす。
という
アイデアで
本来の制度にはない、
非正規なルートを
作ったのかもしれません。
こうなってくると
権力の根拠が
天皇だけではなく
天皇と上皇とばらけてしまい
今までのような
どの勢力が
天皇を味方につけるか?
天皇の勅令を利用できるか?
という単純な政治や謀略の戦いでは
済まなくなり
平清盛から始まる
軍事力を根拠にした
権力の奪い合いに
つながっていったと思うと
この漢朝末期と
手段は違いますが
ちょっと似ている部分も
あるのかもしれません。
この
三国志の映画は
古代中国語でのセリフのため
字幕を追いかけるだけで
難しいのに加えて
途中から
宦官のことにひっかかってしまい
三国志に没頭できなかったことが
悔やまれます。笑
言い訳をすると
3Dアニメ―ションの
キャラクターの顔に慣れず
誰が誰か見分けがつかなくなることもあり
途中で集中が切れてしまったので
もう一度見に行こうと思っています。
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